仕事における「好き・嫌い」 の話

理念とビジョンに基づく経営での判断・議論は、「即しているか」「正しいか」「間違っているか」が判断基準となります。
職場で、言いがちな「好き・嫌い」に関して言及します。
「好きな事だけやって生活する」って結構難しい。
勿論そうやって生活している方もいると聞きます。
ですが、果たしてそれでうまくいくでしょうか?
例えば、世間一般的には、芸能、芸術、スポーツの世界なんて、「好きなことやって生活している」と見られていませんか?
でも、感覚的にですが、その職業の方って、気を病んでいたり、自殺する方は少なくないですよね?
私も含めて一般の庶民から見て「好きなことをやっていて羨ましいなー」なんて思っている人って、その道を職業にしてしまうと、そりゃ、とてつもない苦労や悩みが有るんでしょうね。
ですから、仕事自体、そもそも、楽で楽しいものではないと思います。
「仕事自体」 「自体」と言いました。
仕事をするうえで、
成果を出したり、お客様から感謝されたり、仲間と苦労と喜びを分かち合ったり、
そういったことがやりがいに繋がると思うのです。
まぁ、それも仕事の一部なのではありますが、「仕事自体」ではありません。
仕事全体、全部が詰まらないと言っているわけではなく、「作業自体」は、面白いものではなく、やりがいが見いだされるのは、他者との繋がりが有る部分だと思うのです。
勿論、自己完結で、自分の評価だけで完結する作業もありますが、それだけでは食えないのです。
それはあくまでも趣味
いえ、趣味がくだらないと言っているのではなく、今は仕事の話をしています。
たまに、
「仕事がつまらない」とか「仕事がつらい」という人がいます。
そういう時に、私はこう言います。
「仕事が楽しかったら、お前が会社に金払えよ。ここはディズニーランドじゃないんだから」
先ほど言いましたように、「作業自体」に喜びやりがいがあるのではなく、仕事を進める過程での他者とのやり取り、結びつきがやりがいに繋がるのです。
ですから、経営者は、その部分を社員に伝えなければならない。
「作業」自体は楽しくないんだから、どうしたら「仕事」が楽しくなるのか?やりがいが持てるのか?
その方法として ビジョン経営が有り、理念経営が有るのです。
仕事なんてつまらないもの
でも、人生の大部分を仕事をして過ごす
だったら、つまらないことを喜びに変えるにはどうしたら良いか?
それがビジョン経営です。
そして、その基本の考え方が、各社それぞれの理念です。
それは違って良いんです。
それに賛同するか適応する人が社員に成れば良いんです。
この時に大事な事は、どんなに立派な理念が有っても、それを実践していない会社はダメだということです。
以前、「他の企業の人材の育成と資金の獲得を進める」という会社を手伝いました。
実態は、自社の収入しか考えていない会社でした。
顧客の要望は聞かない
クレームを言う顧客のことは罵倒する
社員に対しても、その者が居ないところで悪口を言う
8時間労働のはずが、最長で14時間労働もありました。
昼休みはなく昼飯を取れないこともありました。
勿論、助言はしました。提案もしました。
その社長は「俺は信長だから、秀吉みたいに『はいはい』とすべて聞いてこなしてくれる社員がいればいいんだよ」と言っていました。
信長は、最後に部下に裏切られて殺されるんですけどね。
契約当初、「まず3か月で」とお願いしていて助かりました。
3か月の契約満了で、その後の更新はしませんでした。
猛烈に引き止められましたが、猛烈にお断りしました。
私がいた3カ月間、入社した社員は10人、退職した社員は9人です。
『沢山やめても良いから沢山採用する。』
そういう業界もあるそうですが、私は大反対です。
「最近の若い人はすぐやめる」
「ベンチャーはそういうものだ」
果たして、そうでしょうか?
社長が省みない会社は成長しないですよ。
経験や知識が蓄積しないですから。
社員が辞めるのには理由があるのです。
はい、ここまでが導入部分。(長かった・・・)
今日は、社長、管理職向けの話です。
「好き・嫌い」の話
理念経営の企業では、好き・嫌い っていう尺度ってあまり重要じゃないんです。
理念に即しているか?
理念で考えてみるとどうか?
「あっているか?間違っているか?」
「正しいか?間違っているか?」が尺度なんです。
理念の範囲内での議論は大歓迎です。
理念を逸脱したところで、好きか嫌いかなんて言ってはダメなのです。
大事な事は「指示」
指示する「方向」は同じ
やり方は様々でも良いんです。
判断も議論も同じです。
方向性、ベクトルは一つ
例えば「北」だったら、「北北西」でも「北西」でも「北北東」でも「北東」でも良いんです。
「西北西」「東北東」は微妙ですが、議論の余地はあります。
「東」「西」では議論しません。
東、西は北ではないからです。
ある企業で、管理職が言っていた言葉です。
「成果は出たけど、そのやり方、俺は嫌いだな」
何ですかこれ?
そのやり方が、理念に即していないなら
「成果は出たけど、そのやり方は理念に即していないから、今後は理念に即した〇〇な方法でやっていこう」が正解です。
或いは、こちらを私は最も危惧するのですが、
そのやり方が、理念から逸脱していないにもかかわらず、
単に、上司が好き嫌いで指導しているのではないかと思うのです。
最悪です。
「じゃ理念経営って何?」って、『部下は思います』
こう言い方ならオッケーです。
「そのやり方、俺は好きなんだけどなー!でも、理念からすると合っていないから、今後はやらないように気をつけようね」
こういう使い方なら大丈夫
「好きだけど否定」です。
「嫌いだから否定」って、子供ですか?
「間違っているから否定」か「好きだけど否定」でしょ?
「あの社員、嫌いなんだよね、何となく」
これ、「何となく」って婉曲表現のようですが
「何となく嫌い」は全否定ですよ
「あの社員は理念も守らないから問題がある。どうやって育てようか?」
これが正解です。
もし社長が「俺、あいつ好きだな」って言ったら、他の社員はどう思いますか?
最悪です。
優秀かそうでないか
正しいか間違っているか
成果が有るかないか
理念に即しているかいないか
そういう判断はあっても良いですが「好き・嫌い」は、少なくとも、経営者、管理職が言う言葉ではありません。
前述したように「好きだけど否定」の場合だけです。