パワハラやめたら売上が上がった①

令和2年2月21日、墨田区役所さん主催で「元パワハラ社長」の講演をしました。
簡単に言うと
「パワハラを辞めたら、会社が大きくなって売上が上がった。」
ということ。
勿論、単にパワハラを止めれば良いというわけではない。
講演の中で、単にパワハラを辞めて生じたデメリットの例もお話しさせていただいた。
ただ、パワハラを辞めた方が売上が上がる方向性はその通りである。
「しかし、昔は、それで上手く回っていたじゃないか!」
そんな意見はもっともである。
私も疑問に感じていた。
何で、昔は、昭和は、それで成り立っていたのだろうか?
薄々は分かるが、ちょっと調べてみた。
昭和
高度経済成長 20年間 1955~1973
背景 朝鮮戦争、家電製品・マイカーの普及
労働集約型産業 首都圏に人口集中 ⇒ 地方のインフラ整備
円高 ⇒ 金融緩和 ⇒ 信用創造 ⇒ バブル
グローバル経済化
三公社民営化
まぁ、この辺までが、バブルが崩壊するまでの状況
特徴を述べると
物が無いから、出せば売れる
⇒ これは今でも、新しい価値観に訴求したものを出せば売れるということに繋がるが
終身雇用
年功序列
護送船団方式
親方日の丸
そういった状況だったから、企業内での上司と部下の関係、上司が部下にどう対応するかは決まっていったと思う。
その当時の『人』にフォーカスして考えてみる。
やっぱり、
終身雇用 と 年功序列 かな?
元々、年功序列は、太古の昔からの徒弟制度であろう。
素人が弟子入りし、下働きしながら、徐々に技術を盗み覚えていく。
すると、能力と知識が徐々に上がっていくから年功序列が成り立つ。
時が経てば経つほど、能力が上がるので給料が上がっていく。
これに反する場合も多少出てくる
天才の存在である。
大して覚えていないのに、感性で出来てしまう人もいる。
或いは、秀才の存在である。
練習、訓練が大好きで、吸収量が半端ない者の存在である。
そういう者たちは、ごく少数であるから、昔から 「異例の昇進」とか「まれにみる」例外として扱われてきた。
主流の流れではないのである。
ところが、最近では、弟子入りしなくても、ノウハウをいきなり教えて貰える各種「学校」が存在している。
一般的な専門学校と違う立ち位置
「寿司アカデミー」や「お笑い養成所」などもそうであろう。
勿論、これらを否定しない。
要領よく身に着けることも必要だ。
但し、そういった学校を出ても超一流に成れるのは、ごくごく僅かであるようである。
期間は短くなっても、人数比は変わらないようだ。
さて、終身雇用と年功序列の話に戻ろう。
これがキーになって、以下のようなルールになったのではないか?
しつけは暴力で
上司、教師、親は絶対君主、逆らえない
部下の手柄は上司の手柄、上司の失敗は部下のせい
簡単には辞めない
離婚はしない、離婚は恥
転職は恥、転職はダメ社員
根性、根性、ど根性
勤務時間が長ければ偉い
有給休暇を取らない方が褒められる
効率とか効果とか考えない
なんとかしろ
お前が悪い
横並び
男尊女卑
内勤事務の評価が低い セクハラ
◎プロセスはどうでも良いから結果を出せ
⇒創意工夫しない。考えない、工夫しない
他人と違う意見は言わない
◎頑張れ never give up
最後まで頑張れば、結果が出なくてもOK
最後の◎二つは、矛盾した考え
さて、では、バブルの後、世間はどうなったのか?
平成
消費税導入
金融引き締め
公定歩合の継続的引き上げ
不良債権の処理の遅延
バブル崩壊
リストラ
ダウンサイジング
不良債権処理、融資の引き上げ
生命保険、証券会社、銀行の破綻、統合
GDP伸び率最低
人件費の抑制
デフレ
製造業の海外移転 ⇒ 産業の空洞化
規制緩和、金融緩和
ITバブル
Eコマース
ビジネスモデルの変貌
光通信、同時多発テロ ⇒ ITバブル崩壊
雇用の流動化 終身雇用の崩壊
所得税の最高税率の引き下げ ⇒ 経済格差
国内<海外市場重視
メガバンク化(竹中金融行政)
デフレは相変わらず
2002年ごろから
円安 ⇒ 輸出、外資による設備投資 ⇒ 倒産減少
労働力不足
実感なき景気回復
非正規雇用の拡大
商法⇒会社法 企業の社会的責任の増加
更なる格差社会
リーマンショック 2008
エコ減税
ドバイショック、欧州危機、米国債ショック
中国、高成長
東日本大震災 ⇒ 経済に悪影響
アベノミクス(金融緩和、財政政策、民間投資)
2014 消費増税
有効求人倍率は改善(人手不足)
円安、株価上昇
外資による不動産買収
大企業は好転
中小零細は変わらず
貿易収支は赤字
令和
今後?
分かります?
終身雇用は崩壊し、労働力不足で、企業の社会的責任も増大し、ビジネスモデルも変貌している
にも拘らず、指導方法が変わらないのはおかしいでしょ?
バブル期の新入社員は、今、管理職~取締役
まだ、バブルを引きずっているんですよ。
しかも、その部下たちも、その方法に疑問を感じない。
その方法しか知らない
だから、他の事が出来ないんですよ。
ちょっと話を変えます。
スポーツ競技の記録の変遷に関して

例えば、系列1は、速さを競う競技
最近のシューズの改良などで急に記録が縮まることはありますが、概ね、徐々に少ない数字に成って行きます。
系列2は、長さや重さの競技
徐々に高い数値に成って行きます。
ここで注目して欲しいのは、系列3
急に上昇 ⇒ ゆっくり上昇 ⇒急に上昇
この競技は、何でしょうか?
走り高跳びです。
ハイジャンプ
正面跳び ⇒ 挟み跳び ⇒ ベリーロール ⇒ 背面跳び
やり方が全く変わっているのです。
本来は、別の競技である位に変わっています。
これを、パラダイムシフトと言います。
イノベーションも似てはいますが、イノベーションの方が、まだ緩やかな感じでしょうか?
パラダイムシフト(英: paradigm shift)とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。
ビジネスも、パラダイムシフトしなくてはいけないのです。
徐々に変える・・・なんて言ってられないし、それでは効果はないのです。
徐々に変えても、社員や顧客には響かないのです。
例え良くなってもです。
抜本的に変えて、急激に変えた方が良いのです。
パワハラも、急に「止めた!」と言って止めればいいのです。
実際に私はそうしてきました。
過去に行った実例を述べます。
これは、一度失敗して、その後に成功した例です。
結果オーライでした。
元々の考え方
クレームやミスは悪である。出してはならない。クレームやミスを出したことに罰を与える。
するとどうなった?
クレーム、ミスが発生すると、上司は怒る
部下はクレーム、ミスを隠す
成長しない、繰り返す
パラダイムシフト
クレーム、ミスは歓迎
初動は社長
起こした者にペナルティーは課さない
隠したらペナルティー
これ、1年間やったんですよ。
社長は忙しかったですよ
クレーム対応から帰ってきたら、またクレーム対応に出かけるという(笑)
面白い事に、クレーム対応の初動を社長が行うと、クレームが、その場で終わるのです。
私が謝罪をしながら名刺を渡すと
お客様「え?社長さんが来てくれたの?わざわざすみません」
なんか、お客様が申し訳なさそうに謝ってくるのです。
即座に解消
現場で、今後の対処と、同様な場合の対策をお話しして完了
クレームを入れたお客様が満足して終わるんです。
でもね、これ、デメリットがありました。
クレームが減らない
社員が懲りないので成長しない
クレームが減らないのは、ある意味、お客様の要求が大きくなれば、仕方がない事かと思いますが、「社員が懲りない」のは、大きな目で見れば、お客様満足においてはデメリットです。
では、どうしたかというと・・・
隠したらペナルティーはそのまま
発生した事象は全社員で共有
初動は本人と直属の上司が対応
対応に関しては、上司に決定権を与える
原因と対策を徹底的に行う
この結果を全社員が共有
これを徹底しました。
これは効果的でしたね。
社内的にもお客様サービス的にも
パラダイムシフトとはこういうことです。
パワハラは、宣言さえしなかったですが、急に辞めました。
当時、パワハラなんて言葉もなかったですからね。
私は、現場からの叩き上げで、全業務、」浅く広く知っていました。
しかも、営業に関しては社内でトップレベルの成績でした。
「何でできないの?」と良く社員に言っていました。
俺と同じやり方、何でできないんだよ!!
「何で」でした。
自分は、答えを知っているつもり
それが出来ない社員がダメなんだ
上司の役割は、「何で?」を部下に問いかけることではない
理由が分かってたら苦労はしない
大事な事は「どうしたら?」でしょ?
どうしたら部下の成績を上げられるか?
そのために、自分は何をしてあげられるか?
背中で見て盗め!
という徒弟制度ではないのですよ。
だから、まず、怒らない
どうしたら、その社員は成績が良くなるのか考える
自分だけで分からなかったら、幹部にも問いかける
今まで、「あれやれ、これやれ、売上上げろ!」と言っていたのを辞めて
「どうしたら良いと思う?」と幹部を、部下を頼るのです。
これ、経営者にとっては、パラダイムシフトだと思いますよ。
自分のやり方に自信を持っていて、成功体験をしている
だから俺の言うとおりにやれ!
と言っていた人が、「どうしたら良いと思う?」なんて
社員はびっくりですよ
「何、この社長、自信を喪失してるのか?頼りないな」なんて思われるかもしれません。
そうなのです、何も策を講じないで、「どうしたら良い?」なんて言ったらだめなんです。
もっと細かく言うと、
「あれやれ、これやれ」は、社長のやる仕事ではないのです。
・うちの会社はどういう会社
・今後、どうしていこうと思っている
・だから付いて来てくれ
社内で行う仕事はこれに尽きるのです。
それ以外に、対外の仕事もあります。
・地域
・業界
・金融機関
・CSR
ですから、社内に関しては、先ほどの3つのことを徹底して行い、その上で「どうしたら良いと思う?」を問いかけるのです。
次に行うことは、社員の行動の基準を作ることです。
職能級の定義
人事考課の基準
この二つが明確になっていなければ、社員は、何をやったらいいのかが分からないのです。