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2・6・2の法則

先日、ある問題社員を指導していて、その上司から言われたことが有ります。

「すけかわさん、なんでそんなに一生懸命なんですか?
彼は切り捨てればいいじゃないですか!」

いや、上司の資質としてどうなんでしょう?
どうなんでしょうと言うか、かなり不適格です。
いえ、
完全に不適格です。
『部下を切り捨てて良い』
そんな上司が優秀な上司のはずが有りません。
こんな上司は、例えば、切り捨てたとしても、部署内の人員自体が足りなければ、「人材を増やしてください」と平気で言い張るのである。

「あいつは使えないから要らない。
0.3~0.5人分しか役に立たない。
だから、あいつを配置転換して、他の部署に回して欲しい」

初めは、こんなことを言います。
「彼がいると、部署内の雰囲気が悪くなるから、いなくなるだけで効率は今よりも良くなります」

ところが、実際に異動させると、
「あいつでも0.3~0.5人くらいは役に立っていたので、人員を補充して欲しい」
なんて、さらっと言ってのけたりします。

誰がこんな人を管理職にしたのですか?(笑)

でも、結構いますよ。

何度も言っていますが、
管理者の五大任務
1、高い業績を挙げる事
2、部下を育成する事
3、部門を強化拡大する 事
4、社風を守り強化する 事
5、より高い地位、任務 を担う事

つまり、この管理職は、『部下を育成する事」を放棄しているのです。

「じゃ、どうやって育てるんですか?!」
なんて、気軽に聞いてくる。
部下の指導育成を、料理のレシピと勘違いしている。

勿論、指導育成法はあるのですが、他者に「どうすれば良いですか?」とマルっと全部聞いてくるようでは、それこそ、「あなたが管理職である必要はないよね?」となります。
「彼は命令を無視します。命令を出すときは、〇〇のようにしていますが・・・」とか、具体的に指導方法を聞くのは構わないのですが、
「これ以上どーしたらいいですか?!無理です」
と言うのは、どちらかと言えば
「私は管理職としてはとても優秀で、彼以外は皆言う事を聞いてくれていますが、彼は特別で、誰だって指導なんて出来っこないし、不要な人間なんですよ。私は優秀ですが」
と言っているだけなのです。
もう、うんざりです。

こういう管理職が最低なのは、勿論、任命した会社が悪いわけですが、最初から、管理職を立派に勤められる人なんていないのですから、気づき、成長すれば良い訳です。

ところで、『彼』は何が悪いのでしょうか?

能力が劣っている。
言われたことしかやらない。
自分勝手に解釈して仕事をする
人の意見を聞かない
前の職場、部署の事を引きずる
性格が悪い
嘘つきである

まぁ、色々なケースが有りますね。

この中で一番解決しやすい事は
『言われたことしかやらない』です。
この場合、常に言い続ければ良いのです。
上司としては、臨機応変に、自分で考えて仕事して欲しい所ですが、『彼』は指示待ちの性格なので、常に指示を出すしかないのです。

次に簡単なのは、「前の職場を引きずる」ですかね?
『前の職場では、誰からもそんな指摘をされなかった。だから自分は優秀である。この職場での待遇は遺憾である』と言う感じの方、いらっしゃいますよね?
こういうケースで、『前の職場』の上司にヒアリングした経験が有ります。
「彼は、無能だから、無視してました。出来る簡単な仕事だけを与えていました」
そう、『文句を言われなかった』は優秀だからではなく、『無能だから無視されていた』という悲しい事実なのです。
それに引き換え、今の上司や環境は、「彼」に意見を言っている。
つまり、無視ではなくて、きちんと向き合っているんです。
この、残酷な現実を彼に突きつけるのです。
『過去、君は、無能のあまり無視されていた、現在の上司は、君に向き合っているんだよ」と通告するのです。

一番難しいのは、嘘つきですかね?

指摘しても認めませんからね。
「そんなことはなかった」「やっていない」「知らない」
もう、話にならないのですよ。
人間性の問題で、『事実を認めるのは恥ずかしい事だが、そこから始めないと何も変わらない」のです。

さて、各人の指導方法に関して話していたら、それこそケースバイケースであり、多種多様なので、話を置いておいて、
実際、この上司の要望通り『彼を排除』した場合はどうなると思いますか?

私の過去の経験則を元にお話いたします。

『2・6・2の法則』ってご存知でしょうか?

社員数を10としたら、
2割が優秀な社員
6割が一般的な社員
残りの2割がダメ社員
という法則です。

そもそも、ダメ社員とはなんであるかを語るだけでも何時間も掛かりますが、今日の所は、そこには突っ込まないで、簡単に考えてください。

優秀:普通:ダメ=2:6:2
と言う事です。
8割の社員が普通以上です。

では、ここで、ダメ社員を1人退職させたとしましょう

優秀:普通:ダメ=2:6:1

になりますね。
88%の社員が普通以上になりましたね。
え?
そうでしょうか?

経験則で言いますね。
あくまでも、『2:6:2』の法則は生きているのです。
つまり、『20%の社員はダメ社員である』と言う法則です。

社員が9人になり、その20%は、1.8人≒2人です。

2:6:2

2:6:1
になった後

①2:5:2
②1:6:2
このどちらかになるのです。

これは、そうなのです。
全体の2割はダメ社員なのです。
これは普遍の定理のようです。

でもダメ社員にも役割が有るのです。
前提として
・昇給か賞与で、社員間に差をつけていること
と言うのが有ります。
給与賞与に差もつけないで、働きの中身がかなり違うというのは、根本的に不平不満を生み出します。
ですから、差がついていたとします。

差がついていれば、ある程度社員の不満は起こりません。
『彼は仕事が出来ないけど、その分評価が低いからね』

これは前提で、先ほど言いました役割ってなんだか分かりますか?
ダメ社員の役割は、「ダメ社員であること」そのものです。

2:6:2の法則は普遍的であるのでしたら、ダメ社員を無くすことは出来ないのです。
『ダメ社員を排除したら、部門の意識が上がって、生産性が向上する」なんてただの幻想です。
新しいダメ社員が出現するだけです。
出現するというのは、新しい社員が入るという事ではなく、『普通だったり優秀だったりした社員がダメ社員の役割を演じる」ようになるという事です。
「そんな馬鹿な!」という人が居るかもしれませんが、事実です。
逆に言うと、
2割のダメ社員が存在するから、8割の普通以上の社員が存在できるのです。
原因は、優越感だったり、人の振り見て我が振り直せだったりするのだと思います。

ですから、『ダメ社員を排除』してはいけないのです。
絶対にいけないのです。

では、どうするか
放置するのか?
いえ、そうではありません。

ダメ社員の底辺のlevelを上げるのです。

ダメ社員は、超優秀な社員に成ることはそうはありません。

利益を莫大に上げるようになる
なんてことはあります。

ですが、例えば、『利益は上げられるようになったが、段取りが悪く、周りの社員が大変だ』なんて落ちが着いたりします。
でも、『単なるダメ社員』の時と違って、会社にはある程度利益をもたらすようにはなります。
彼は、利益はかなり利益をもたらすようになったのですが、段取りの悪さは、社内でも有名で、相変わらずダメ社員です。

つまり、ダメだけど、行動の内容を変えることは出来るのです。

ダメな人のレベルが上がっていきますから、社内全体としては、レベルは上がるのです。

ですから
①ダメ社員を排除しようとしてはいけない
②ダメ社員を優秀社員にしようとしてはいけない
③ダメ社員の行動のレベルを上げて行けば良い

前日の例で言うと
・常に命令を出し続ける とか、放置しない事です。

ダメ社員を皆の前で怒ったり、朝礼で指摘したりとかは、絶対にやるべきではありません。
ダメ社員がそんなことで改心することはありません。
ダメ社員のしでかしたことは、他の一般社員の反面教師にさえなりませんので、会社の雰囲気を乱すだけです。

ダメ社員へは、マンツーマンで指導するしかないのです。

良いですか?

ダメ社員は排除してはいけない
小さなことからでいいから、行動の改革をひとつずつ行う

優秀社員ばかりが部下なら、実は上司は必要ないんですよ
ただ、今日の話題のように、優秀社員を10名集めて新しい部署を作ったら、2名のダメ社員が現れますからね。
それにどう対応するかが、管理職の務めなのです。

ダメ社員のlevelが上がって行って、管理職から見たらまだまだダメ社員であるが、第三者から見たら、「全員優秀に見える」と言う所まで引き上げて、それが、管理職の仕事です。

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