初めての人事考課① 給与の適正化
人事考課について考える前に、従業員の給与は、どうやって決めているかを考えてみましょう。
昔から「給料の3倍稼げ」と言われてきました。
この場合の「稼ぎ」とは、勿論、売上金額の事ではなく、粗利益です。
社員の人数、間接要員の割合にもよりますが、【2~3倍】稼ぐのが一般的だと思います。
何故、自分の給料分だけでは足りないか?
公的福利厚生費
各種保険料
社屋の賃料
社用車の維持費
制服等の消耗品費
事務用品費
水道ガス光熱費
租税
間接要員の給与
経営者の給与
社内留保分の資金
等々、たくさんの費用が発生いたします。
それを、「エイヤー」で 2~3倍稼ぐ となっています。
ですから、本来は、
社員一名が増加する場合
彼が生産するであろう粗利益(生産して欲しい)が いくら(A円)
A円 ÷ 2~3 = 給与
となるはずです。
ですが、既にルーチンで行っている作業ですと、「一般的に」いくらぐらい稼げるか分かるはずですので
「行う職種」で「給与はいくら」で募集を掛けますよね。
また、間接要員にも、粗利益の考え方を活用した方が良いとも思います。
・「派遣会社に依頼する場合の費用」と「効果」
・「自社員で行う場合の人件費」と「効果」
以上を比較検討した方が良いです。
勿論、一時的に増員を行う必要が有る場合は、派遣に任せるべきなのでしょうけど、費用だけではなく「効果」も考える必要が有ります。
私、建築関係と同様に福祉関係の企業様も多く支援させていただいているのですが、この二つの業界は、生産性の考え方が著しく違います。
建設業に限らず、営業マンの収益、粗利益率と金額総額は、人によってまちまちです。
金額が大きく、粗利益率が多い物件を契約してくる営業マンが一般的には優秀とされています。
ただ、この二つの数字が良くても、納期が著しく短かったりする場合、実行部門が社内だけでは足りなくなり、アウトソーシングが多くなると、利益率は下がります。
この辺まで考えて、利益率を正確に計算する営業マンは優秀です。
作業者にしても、他者に比べて、正確で速く、数多くこなせる社員は優秀です。
ところが、福祉業界では、なかなかそうはいかないのです。
例えば、要介護者5人に対して職員は2名 と法令で決まっています。
その際の、所得=介護保険料も決まっています。
ですから、
「私は、能力に優れているので、一般的には2~3名しか介護が出来ないところ、私は、一人で6名の介護者に対応が出来ます。ですから、給与は、一般の二倍ください」
ということは出来ないのです。
能力が有っても、収益増につながらないのです。
この辺は、間接要員の考え方に似てきます。
効率が挙げられないのでしたら、
・利用者の評判 → 利用者の定着や増加
・事故を起こさない確率
など、実務に則した基準で評価するしかないのですが、
『個人』の収益増にはつながらないのです。
そこで出てきた考え方が「処遇改善手当」という行政から降りてくる資金なのですが、この話は一旦置いておきます。
では、どうやって給与を上げて行くか?
法律で、仕事量の上限が決められている以上、収益を上げるのは結構大変です。
・勤務時間を長くする(やり過ぎはブラック)
・経費を削減して原資を多くする
・アウトソーシングを少なくする
・逆に、手間が掛かり、人件費が掛かる仕事は外に出す
・別の事業で利益を出す
この様にして、会社全体で作った費用を元に、賞与やベースアップの原資にするのです。